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顔認証データは個人情報に含まれる?ーーJR東日本と成田空港の事例を紹介

はじめに

入店するとき、自分の顔が映し出される検温システム。いわゆる「顔認証型検温システム」ですが、ここで提供する自分の顔と体温データを測定データはどう使われているのでしょうか。
現状、同様のシステムで取得できる検温データと顔画像はログとしてデバイスに保管されています。例えばSHARPの『顔認証+自動検温システム』の場合、取得した顔認証・検温データは、web管理ツールにてデータを確認することができる旨が記載されています。 ここで取得したデータを活用しようとするオーナーは少なくないと思います。
今回は、顔認証システムについて「取得したデータ活用をする上での注意点」と「具体的な取り組み」について紹介していきます。

  • どのような場面で利用されている?顔認証サービス
    • 成田空港が出した顔認証データ活用の際の個人データ取り扱いガイドブック
    • JR東日本が巻き起こした監視カメラ問題
  • 顔認証における個人データ活用
  • まとめ

どのような場面で利用されている?顔認証サービス

顔認証サービスは今、多くの場面で利用されています。飲食店やアパレル、スーパーなどの入店時に必ずと言っていいほど設置されている顔認証型検温システム。ここでは検温に限らず、さまざまな方法で取得した顔認証データの活用事例を紹介していきます。

成田空港が出した顔認証データ活用の際の個人データ取り扱いガイドブック

成田空港と国土交通省は共同で2020年3月、『空港での顔認証技術を活用した One IDサービスにおける個人データの取扱いに関するガイドブック』を公開しました。ちょうど東京五輪開催の直前、インバウンド施策で国内が盛り上がっていた時です。

このガイドブックでは、チェックインから出国審査を含めた搭乗まで、搭乗券やパスポートを提示することなくスムーズな搭乗手続き”顔パス”を可能とするため、個人データの取り扱いについて配慮すべき事項をまとめています。

ここでポイントとなるのが、空港会社と航空会社間での個人データのやりとりです。 下記の図のように旅客が自動チェックイン機でチェックインする場合、空港会社は旅客から「顔認証ID」とタッチポイントで撮影する「顔画像」データを受け取ります。これら個人データと航空会社から取得した搭乗券情報を結びつけて「顔認証用ID」を作成。その後、旅客は生成された顔認証用IDのみで荷物の預け入れや保安検査場、ラウンジなど、搭乗するまでの全てのフェーズにおいて”顔パス”でできるという仕組みです。

『空港での顔認証技術を活用した One IDサービスにおける個人データの取扱いに関するガイドブック』より引用

この空港会社と航空会社間でのやりとりにおいて旅客の個人データを第三者提供する際、旅客に対してどこまで通知・公表をするのかどうかが個人情報保護法の観点で課題となってきます。 成田空港の事例では、

  • 顔認証IDの利用制限
  • 旅客のオプトインがある場合のみ”顔パス”サービスを提供
  • 顔認証IDは生成後、24時間以内に消去

を掲げました。

 💡 オプトインとは
ユーザーに宣伝広告を配信する際、ユーザーに対して事前に許可を求めることです。対義語にオプトアウトがあります。

そもそもなぜこのガイドブックが作成されたのでしょうか。その背景には、「顔認証技術は不変性が高く本人の意思によらない取得が容易な識別子であり、強い追跡機能を有することから、導入に際しては、旅客に利用目的や情報管理について十分な理解と納得を得ることが求められる」ためと書かれています。個人データの取り扱いについて細心の注意を払っていたことが伺えます。ここから「個人情報保護関係法令の遵守に加え、さらに社会的受容性を高めるために、プライバシー保護の観点での具体的な対応を踏まえた内容として、個人データの取扱いに関して事業者が配慮すべき事項」のとりまとめをしたといいます。

『空港での顔認証技術を活用した One IDサービスにおける個人データの取扱いに関するガイドブック』より引用

一方で周知の事実にもあるように、コロナ禍で一旦運用は停止。ようやく2021年7月に運用が開始されました。ようやく感染拡大も落ち着きを見せ、インバウンド再熱が叫ばれる中、「顔パス」の本格運営は近いと考えられます。

JR東日本が巻き起こした監視カメラ問題

2021年9月21日付けの読売新聞は、JR東日本が「顔認識カメラを使って、刑務所からの出所者や仮出所者の一部を駅構内などで検知する防犯対策を実施している」と報道しました。同記事によれば、JR東日本は7月から、顔認識カメラを用いて出所者と仮出所者の一部を駅構内などで検知。その他、不審者や指名手配者も含め検知しており、必要に応じた手荷物検査や通報などのプロセスも示されていたようです。

これは何が問題なのでしょうか。

日経クロステックによれば、JR東日本が監視カメラによる運用システムを開示していなかったことが指摘されました。

また成城大学法学部教授の指宿信氏によれば、今回の事例はそもそもが肖像権の侵害となるのではないかと指摘。しかし、現行する法律との矛盾もあり先進国の事例から「顔情報の利用について包括的な規制の枠組みを構築していくべき」との見方を示しました。

監視カメラによる監視は、個人情報保護委員会が2019年6月に公開したQ&Aに詳しく書かれています。 Q1-13-2の「防犯目的のために、万引き・窃盗等の犯罪行為や迷惑行為に対象を限定した上で、顔認証システムを導入しようとする場合にどのような注意が必要とされますか」という質問に対して、

カメラ画像や顔認証データを体系的に構成して個人情報データベース等を構築した場合、個々のカメラ画像や顔認証データを含む情報は個人データに該当するため、個人情報保護法に基づく適切な取扱いが必要です。 防犯目的のために、万引き・窃盗等の犯罪行為や迷惑行為に対象を限定した上で、顔認証システムを導入して顔認証データを含む個人データを用いようとする場合には、特定された利用目的の達成のために必要最小限の範囲内において顔認証システムへの登録を行い、個人データを正確かつ最新の内容に保つ必要があります。 具体的には、各事業者においてどのような基準でデータベースに登録するか社内ルールを設定し、誤登録等を防ぐための適切な措置として、例えば被害届の有無により判断を行うなど客観的に犯罪・迷惑行為が確認されるケース等に限定するとともに、事業者内で責任を有する者により登録の必要性と正確性について確認が行われる体制を整えること等が重要です。 (平成 30 年 12 月追加)

と回答しています。

ここから現状、顔認証データをどのように扱えばいいのか、事業者に判断が委ねられているとも言えます。

顔認証における個人データ活用

今回取り上げた成田空港やJR東日本の事例からも分かるように、カメラ画像から取得できる画像は個人情報に含まれるため、これらデータの利活用には最新の注意を払い、かつ開示する必要があります。

では、具体的にどのような点に注意を払えばいいのでしょうか。

光和総合法律事務所弁護士の渡邊涼介氏によれば、個人への事前告知が必要といいます。例えば撮影対象場所におけるポスター掲示やパンフレットの配布、HPでの告知などです。 また、ここから得たデータの活用にも注意を払う必要があります。画像データを特徴量にしたものは、個人識別符号に該当します。この個人識別符号を集めてデータベース化したものもまた、個人情報データベース等に該当するため、これを構成する特徴量は個人データに該当するということです。

💡 個人識別符号とは
個人情報保護法の改正によって、個人の身体的特徴や個人に割り当てられた番号をPCなどで読み取れるようにして変換した文字・番号・記号などを指します。
参考:https://activation-service.jp/iso/terms/1957

 

💡 特徴量とは
分析すべきデータや対象物の特徴・特性を、定量的に現した数値のこと。

 

個人情報保護法については下記記事を参考にしてください。

【入門】個人情報保護法をわかりやすく解説!「個人情報」を理解しよう

まとめ

  • 成田空港では、「顔認証データ活用の際の個人データ取り扱いガイドブック」を開示することで、適正にデータ活用を行っている。
  • JR東日本は、顔認証データを用いて防犯対策を実施。社会問題となった。
  • 顔認証における個人データ活用は、顔認証データそのものが個人情報もしくは個人識別符号に該当するため、個人への事前告知が必要。

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参考文献

『空港での顔認証技術を活用した One IDサービスにおける個人データの取扱いに関するガイドブック』

読売新聞 【独自】駅の防犯対策、顔認識カメラで登録者を検知…出所者の一部も対象に(2021/9/21)

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