秘密計算技術を用いた複数組織でのデータ結合・分析について

複数組織でのデータ活用

はじめに

本記事では、秘密計算技術を活用することで組織間でのデータ統合・分析を安全に行う仕組みについてまとめています。

背景

複数組織間でデータの統合・分析を行うことは社会的な価値を創出できるという期待が高まっています。

例えば、アメリカの医療は、病院・介護者・製薬会社などでデータの共有を行い、活用ができれば、毎年3000億ドル以上の価値を生み出す可能性があると伝えられています。

企業にとっても、社会にとっても大きなインパクトが存在する一方で、データ共有にはいくつかの大きな課題が存在しています。

課題

複数組織間でのデータ共有を阻害している課題には、大きくわけて以下の2つがあると考えられています。

  • 個人のプライバシー保護
  • 秘密情報開示への抵抗

個人のプライバシー保護

個人の同意なしに個人情報の第三者提供することは、個人情報保護法によって禁じられていて違法です。

また、法律に反していなくても個人のプライバシーを侵害するデータ活用は大きな社会問題として認識されており、プライバシー保護の重要性は高まっていると言えます。

近年ですと、リクナビ事件が非常に大きな問題となり、2020年個人情報保護法改正にも影響を与えています。

総務省の報告によると日本の企業は他国と比較してパーソナルデータの活用度がやや低い傾向がみられるとも報告されています。

秘密情報開示への抵抗

競争力の源泉になる秘密情報を企業や研究機関は、競合になりうる相手に対し開示することに抵抗感を持ちます。

社会に価値をもたらす可能性は十分に理解しつつも、自組織にとっての不利益を避けようと考えることは当然かと思われます。

また、開示のハードルを超えたとしてもデータを共有することでコントロールできない領域に秘密情報が出たさきで発生するインシデントリスクなども大きな問題となっています。

秘密計算による解決策

複数組織間でのデータ統合・分析への秘密計算の応用は、プライバシー保護及び組織の秘密情報を保護したままで、データ統合・分析を実現できます。

秘密計算技術とは、簡単に説明すると「暗号化したままの状態で計算を実行する技術」です。

データの中身を暗号化したまま公開することなく、機械学習や統計分析などを行うことができます。

また、秘密計算技術は、プライバシー保護データ分析(PPDA)技術としても知られています。

以下の記事でもう少し詳しく紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。

【超入門】秘密計算って何?図で概要をわかりやすく解説!

秘密計算を用いた組織間での安全なデータ流通では、複数組織の機密データを相互に開示せずに統合し、必要としている組織に分析結果だけを提供する仕組みを構築することが可能となり、データ分析とデータの保護のトレードオフの関係だったものを両立できます。

複数組織でのデータ統合・分析は医療、ヘルスケア、行政、金融などのビッグデータ分析での活用が活発に議論されています。

具体的な取り組み例としては、中国のNVXは、すでに医療・ヘルスケア・金融領域でソリューションを提供していると伝えられています。

国内では、NTTコミュニケーションズが和歌山市と共に行政・事業のデータ活用に向けて実証実験を行なっているようなケースも存在します。

まとめ

組織のデジタル化が進み、複数組織でのデータ活用は次の時代のデータ活用の在り方になっていくことが予想されます。

そのためには個人のプライバシー保護と企業にとっての安全なデータ共有と活用を行うための仕組みが重要になっていくでしょう。

  • 組織間でデータの統合・分析は大きな社会的な価値を創出できると期待される
  • 組織間でのデータ活用の課題は、プライバシー保護と秘密情報開示への抵抗がある
  • 秘密計算を用いることで上記課題を解消したデータ統合・分析を実現できる可能性がある

参考

 

 

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