CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?メリットとデメリットを解説

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投稿者:編集部
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はじめに

プラットフォームサービスは、必然的に大きな個人情報漏洩リスクを抱えることになる。この対策だけで莫大なお金と労力を消費しているはずだ。一般的な規模の企業でも、個人情報を所有することが増えてきている。

そんな中、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)が注目されている。活用方法によっては、コンプライアンス向上に繋げられるツールだ。

そこで今回は、CDPについて解説していこうと思う。データ活用の観点でどのようなメリット、デメリットがあるのか深掘りしていく。

CDPとは

CDPとは、複数のソースからファーストパーティのカスタマーデータを収集・統合して、顧客ごとに一貫性のあるデータベースを構築するソフトウェアのことである。ソースとしては以下のものが挙げられる。

  • Webサイトやアプリでの行動データ、インタラクションの回数・長さ・頻度
  • eコマースやPOSシステムに由来するトランザクションデータ
  • 顧客の名前、生年月日、住所などの個人データ

CDPの利用目的としては3つ挙げられる。

1つめは、データの収集・統合だ。従来、ファーストパーティのデータは、マーケティング担当者がサイロ内で業務を行うことが多かったため、他の担当者にデータを受け渡すことが難しかった。また、各担当で扱うデータが異なることもあるだろう。つまり、各担当者がサイロ内で作業するために、包括的にカスタマーデータを扱うことができなかった。しかし、CDPを唯一の情報源として活用することができれば、この問題を一気に解決できる。

2つめは、カスタマーデータのセキュリティ管理だ。先ほども述べたとおり、各担当者がサイロ内でデータを扱う場合、データの厳格な管理が難しくなる。しかし、CDPを一括管理できれば、GDPRやCCPAにも対応しやすくなる(これについては後述)。

3つめは、カスタマーデータのアクティブ化だ。データは、統合や構造化されることで初めて価値が発揮されることが多い。CDPによってカスタマーデータを統合し、活性化させることで、新たな価値が生まれるかもしれない。

CDPの特徴としては、マーケティングのために設計されている点が挙げられる。つまり、コンピュータやデータを深く理解する必要はない。技術的な知識がなくても、簡単にアクセスすることができる。そのため事実上、マーケティング担当者がデータを扱うことが可能となり、IT系の部門と連携する必要がなくなる。

ちなみに、CDPは、DMP(データ管理プラットフォーム)やCRM(顧客関係管理)と混同されることがあるため、違いについても触れてみたい。

まず、CDPはマーケティング用に設計されているのが特徴だ。複数のソースから得たカスタマーデータを収集・統合したものをマーケティング担当者が活用できるデザインとなっている。

次にDMPは、広告向けに作成されたシステムで、Web広告のサポートを重視しているのが特徴だ。また、DMPは新規顧客を獲得するために設計されたキャンペーン向けであり、Cookieからデータを収集している。そしてDMPで収集したデータは匿名加工がされており、短期間保持した後に消去される。

そしてCRMは、企業の顧客はもちろんのこと、見込み客は取引相手などを含めた全ての顧客関係を管理するソリューションだ。

CDPはあくまでも、マーケティング目的で活用されるシステムであることを意識するべきだろう。

CDPの実例

CDPの実例としては、トレジャーデータと、ブレインパッドの取り組みを取り上げたい。

トレジャーデータの取り組み

トレジャーデータは、芳川裕誠氏、太田一樹、古橋貞之の3人によって、2011年に米国カリフォルニア州で設立された。その後、2012年に東京都千代田区でトレジャーデータ株式会社が設立。2013年から日本事業が本格スタートした。現在は、Treasure Data CDPと呼ばれる製品を展開している。

実際の事例として、金融・保険業界では、新規契約獲得の効率化、契約後のフォローによるLTV(顧客生涯価値)向上、解約予測と防止が見込めるという。例えば、新規契約獲得では、事前にCDPを活用してAIスコアリングすることで、見込み度に応じてスタッフを割り当てることが可能になった。もちろん、見込み度が高い人から架電することもできる。

また、既に解約した顧客データを教師データにして、解約リスクのある顧客を特定することもできる。例えば、解約ページ閲覧などのサイト内行動、クレーム情報から顧客の解約度を特定。それから、ポイント付与や特別なキャンペーンを実施するなどのアプローチを実施し、解約を未然に防ぐことも可能になる。

他にも製薬業界、小売・アパレル業界、モビリティ・自動車業界でもCDPが活用されており、導入企業としては以下の有名企業が名を連ねている。

  • 朝日新聞社
  • アスクル
  • KADOKAWAパナソニック
  • ヤマハ発動機
  • 本田技研工業
  • 電通
  • 良品計画

ブレインパッドの取り組み

ブレインパッドは2004年に設立された企業で、ビッグデータ活用サービス、デジタルマーケティングサービスの開発・販売を手がけている。

現在は、データ活用プラットフォームのRtoaster(アールトースター)を中心に、事業者向けのSaaSを提供している。Rtoasterは、CDPのRtoaster insight+、コンテンツ最適化プラットフォームのRtoaster action+、マルチチャネルメッセージサービスのRtoaster reach+の3つの機能群で構成されている。

導入企業は以下のようなラインナップだ。

  • 横浜銀行
  • 日本航空
  • ヤマト運輸
  • 小学館

例えば、日本航空の導入事例では、レコメンドバナーのクリック率が2〜3倍向上したという。まず、導入当初は閲覧履歴やIPアドレスなどによるシンプルなレコメンドからスタート。そして現在は3,000万人の会員データを元に、常時100種類を超えるルールベースのレコメンドを実施中。これらのバナーの出し分けによって、クリック率が2〜3倍向上したという。2008年からRtoasterを導入しているので、10年以上利用していることになる。

日本航空のように、CDPを活用することで、1to1のマーケティングが可能になるのだろう。

CDPのメリット

CDPのメリットは、以下の3つが挙げられる。

  • パフォーマンスの向上
  • 顧客データを体系的にまとめることによる作業効率化
  • 顧客データのサイロ化を防げる

パフォーマンスの向上

先ほど、トレジャーデータやブレインパッドの取り組みを紹介したように、CDPを活用することで広告などのパフォーマンスを向上させることができる。なぜなら顧客データを体系的にまとめるということは、顧客データの精度を高めることに繋がるからだ。CDPを活用すれば、Webサイトで入力された情報、3rd party Cookie、モバイルアプリなどの様々な経路から得た個人データを包括的にまとめることができる。データ活用としては抜群の効果を発揮するのは間違いない。

顧客データを体系的にまとめることによる作業効率化

顧客データを体系的にまとめることで、作業効率化も促進させることができる。実のところ、日本企業の多くは、同じ企業でも部門によって扱うデータが異なるケースが見受けられる。そのため、「部門間でデータを引き渡す」という手間が生じてしまう。しかしCDPを活用できれば、そのような手間を省略することができる。企業全体で一貫した取り組みを実施できるのだ。

顧客データのサイロ化を防げる

顧客データを体系的にまとめることができるので、当然、顧客データのサイロ化を防ぐことができる。これは、GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)のような規制に対するコンプライアンス向上に繋がる。なぜなら、顧客データを体系的にまとめていれば、迅速に対応することができるからだ。

例えば、近年のプライバシー法には、データの消去を求める権利が認められていることが多い。そこでもし顧客がデータの消去を求めてきた場合に、個人データがサイロ化されていると、対応に遅れてしまう。しかし個人データが体系化されているのであれば、すぐにデータ消去に動くことができる。

つまり、CDPの肝は、企業の中の顧客データを1つにまとめることなのだ。元々、企業の中でバラバラになってしまっていたデータを1つにまとめることで、業務効率化やパフォーマンス向上に繋げる。それがCDPの大きなメリットなのだろう。

CDPのデメリット

もちろん、メリットばかりではなくデメリットもある。考えられるデメリットは以下の通りだ。

  • 管理体制次第では個人情報漏洩のリスクがある
  • CDPを使いこなせるかどうか

管理体制次第では個人情報漏洩のリスクがある

CDPは顧客データを1つにまとめることができるが、そのアクセス権は企業の判断に任されている。考えられるケースとしては大きく分けて2つ。管理者を設けて一元管理する方法と、社内の誰もがアクセス可能な状態にする方法が挙げられる。

プライバシー保護の観点で言えば、管理者を設けて一元管理する方法が望ましいだろう。しかしそれでは、管理者しか自由にアクセスできない状況になるため、企業全体のパフォーマンス向上が期待できるかと言われると、なんとも言えない状態になる。また、その管理者に責任が集中してしまうのも、人事の観点で効率的とは断言できない。その管理者が会社を抜けてしまった時のダメージが大きいからだ。

一方で、社内の誰もがアクセス可能な状態にすれば、パフォーマンスが大きく向上するのは間違いない。だが、その分、個人情報漏洩のリスクが高まる。また、プライバシーリテラシーを高めるための教育も必要になり、その分コストが高まる。

顧客データを1つにまとめられるのは魅力的だが、責任が集中する分、管理体制をどのようにするかが鍵になってくるだろう。

CDPを使いこなせるかどうか

仮にCDPを活用してデータを収集・分析することができても、それを活用できなければ意味がない。トレジャーデータやブレインパッドは、あくまでもCDPを開発・販売する企業であり、どのようにデータを収集し、どのように活用するかをアドバイスするコンサルタント企業ではない。そのため、CDPをビジネスに活用できるかどうかは、その企業に懸かっている。マーケティング担当者の腕にもよるだろう。

効率よく活用するのであれば、社員全員がCDPを利用できるようにして、顧客データを新規施策に組み込めることを周知するのがいいかもしれない。もちろんリスクは上がるが、柔軟な発想で新たな活用方法が見つかる可能性がある。

まとめ

  • CDPは、複数のソースから収集したカスタマーデータを一貫性のあるデータベースで管理できる
  • CDPを活用することで、マーケティングのパフォーマンス向上、部門間の作業効率化、セキュリティの一元化などが期待できる
  • CDPを使いこなすには、管理体制とデータ活用が肝になる

参考文献

CDPとは

トレジャーデータCDPとプライバシー保護に向けた取り組み

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