秘密計算に取り組む企業まとめ(MPC編)

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投稿者:編集部
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はじめに

本記事では、秘密計算のマルチパーティ計算(MPC)に取り組む企業についてまとめています。MPCの概要についてはこちらの記事で解説しています。

【超入門】秘密計算って何?図で概要をわかりやすく解説!

海外企業

秘密計算のMPCに取り組む海外の企業5社を紹介します。(五十音順)

inpher (アメリカ)

inpherが開発した「Secret Computing®︎」は暗号化した状態でのデータ処理を可能にする技術です。「Secret Computing®︎」を用いた製品の中でも、「XOR Secret Computing®︎ Engine」ではMPCを暗号メソッドとして使用しています。金融詐欺の検知・プライベートデータセット全体のモデル機能の集約・心臓病の予測など、「XOR Secret Computing®︎ Engine」を用いたユースケースは多岐に渡ります。

Partisia (デンマーク)

Partisiaは会社設立より前に、MPCに基づいた安全なオークションである「Partisia Contract Exchange」を、デンマークの砂糖業界と協力して開発しました。「Partisia Contract Exchange」は売り手と買い手のマッチングや価格設定を、機密性を確保したまま行うことができるため、デンマークの砂糖産業が抱えていた問題の解決に役立ちました。

Sepior (デンマーク)

SepiorはMPCを活用した「しきい値」暗号システムを展開しており、ウォレットセキュリティやブロックチェーン・サーバーなどに保管されている鍵の管理におけるデータ保護を可能にしています。Sepiorが開発した「しきい値署名スキーム」である「ThresholdSig」は秘密鍵が不要であり、秘密暗号鍵化や取引署名でのセキュリティを提供するサービスです。

TNO (オランダ)

TNOはインフラ・医療・情報通信技術などの9つの社会テーマに重点を置いた、独立した研究機関です。その中でも、TNOは他の研究機関と協力し、金融・医療・公共部門でのデータ共有を可能にする研究をMPCを用いて行っています。具体的には、MPCを用いたHIV治療の探求・貧困問題の解決・金融機関での不正検出を行っています。

Unbound Tech (イスラエル)

Unbound TechはMPCベースでの暗号鍵の管理や保護を行い、企業に提供しています。暗号鍵の管理・保護を利用してデジタル資産やブロックチェーンにおけるセキュリティを保つ製品を開発し、提供しています。

先ほど紹介したPartisiaとUnbound Techが秘密計算を用いて取り組む事例についてはこちらの記事で解説しています。

【事例紹介】秘密計算技術はどんなことに使えるのか?

国内企業

秘密計算のMPCに取り組む国内の企業3社を紹介します。(五十音順)

Acompany (愛知県)

Acompanyが開発した「Quick MPC」はMPCを用いた秘密計算エンジンです。手軽に、高速かつ安全に秘密計算ができるため、データを保護したままデータの活用が実現できます。マーケティング分析やGPSの情報分析などのユースケースがあります。

NEC (東京都)

NECは秘密分散方式を用いた秘密計算の分野において、世界を主導している企業です。高い安全性と開発の容易さを併せ持った技術を開発し、個人情報や生体情報、企業の機密情報などへの活用が期待されています。実際に、大阪大学との共同研究によってゲノム情報解析への実用性が認められ 、医学領域への応用が進められています。

NTT (東京都)

NTTは、MPCを用いて秘密計算を行う「秘密計算システム 算師®︎」を開発しました。長年の課題であった処理速度を劇的に向上させ、期間限定で企業への試用提供も行っていました。また最近では農研機構との共同研究において、秘密計算を用いた作物データの活用による「作物ビッグデータ」の研究を開始しました。

まとめ

秘密計算のMPCに取り組む企業と主な事例について概要をまとめました。

  • 海外企業: inpher、Partisia、 Sepior、 TNO、 Unbound Tech
  • 国内企業: Acompany、NEC、 NTT