はじめに
この記事では、知的財産権についてわかりやすさを意識して解説しています。
知的財産とは?
「知的財産」及び「知的財産権(知的所有権)」は、各種の条約や法令によって様々に定義されています。簡単に説明すると、産業財産権(工業所有権)と著作権をまとめたものを知的財産権と呼びます。
産業財産権には、大きく下記の4つの種類があります。
- 特許権
- 意匠権
- 実用新案権
- 商標権
それぞれを簡単に説明します。
特許権は、自然法則を利用した新規性のある発明の保護の権利で、保護期間は出願から20年間です。
意匠権は、工芸品、工業製品のデザインの保護の権利で、保護期間は登録時から20年間です。
実用新案権は、物品の形状・構造・組み合わせに関する考案の保護の権利で、保護期間は出願から10年間です。
商標権は、商品やサービスにつけられた商標(文字・図形・記号などの標章)の保護権利で、保護期間は10年間です。
出願時から保護対象となるものと、登録時から保護対象となるものがあるので、注意が必要です。
また、著作権についても簡単に説明をします。著作権とは、著作権法に定められる創作された表現物の保護権利で、著作権法による保護期間は70年です。

知的財産はなぜ重要なのか?
知的財産は、市場に競合が存在したり、将来競合が登場することが想定される場合に、特許・商標・ノウハウなどの権利を確保することにより、自社の技術・商品を保護しつつ、競合の製品を排除できます。
わかりやすい業界だと、薬剤などが典型的な例でしょう。その他にも、今日ではITシステムの独自のプロセスやフローを知的財産化し、競合が同じような便利な機能などを実装できないように工夫を行うケースも増えています。この例だと、最も有名なのはAmazonの「1クリック購入ボタン」などが特許を持つ機能です。
また、知的財産権に裏打ちされた商品であることをPRすることにより、独自性や信頼性をもつ技術力の高い企業ということをアピールできるという働きもあります。
つまり、知的財産は企業の競争力を高めるために大きな役割を果たします。自社の権利をしっかりと守ることにより、一層参入障壁を高められる一方で、自社が戦うフィールドではどんな特許などがあり、知的財産権で守られている権利があるのかを知ることも重要です。それは、知的財産権は自分たちを守る武器であるのと同じように、競合にとっても同じように守る武器であるからです。
知的財産権とセキュリティ
知的財産権の中でも実は特許には、あえて出願しないという戦略がIT企業では存在します。
その理由は、システムなどの公にその仕組が出ない特性がある商品の場合は、特許を出願してしまうことにより内容が公になってしまい、画期的だった仕組みに対して似たようなシステムを競合に作られてしまうというケースが想定されるためです。
なので、意図的にシステムの中身をブラックボックス化することで、競合に情報を与えないという戦略が生まれるわけです。この際には、特許とは逆で公にして権利を守るのではなく、隠すことによって守っています。
隠すことによって守るということは、セキュリティが重要な要素になってきます。自社が持つ優位性が高ければ高いほど、外部からの攻撃インセンティブは高まります。自社のシステムやデータを守るために十分なセキュリティ対策が重要です。
セキュリティ対策などの問題から、実際に情報漏洩などが発生してしまった事件等は以下の記事にて紹介しています。
まとめ
- 知的財産権とは、簡単にいうと産業財産権と著作権をまとめたものである。
- 産業財産権はさらに細かい種類に分別することができ、それぞれで保護期間や保護対象となるタイミングの違いがある。
- 知的財産権は、自社の競争力強化に重要な要素である一方で、あえて公開せず、ブラックボックス化をし、競合に情報を与えずに有利にビジネスを行うという戦略もある
- 公開しない戦略をとる場合には、セキュリティが重要な要素になる