この記事では、個人情報について紹介します。まず、個人情報の定義を確認した後、関連するいくつかのキーワードを解説します。その後、個人情報を、企業や行政がどのように扱っているのか解説します。
個人情報とは
個人情報は、生存する個人に関する情報、または、特定の個人を識別できる情報です。
たとえ死者の情報であっても、適切に取り扱う必要があります。
例えば、住所の例で考えてみましょう。もうすでに亡くなってしまった人の住所は、故人にとっては、もうすでに個人情報ではありません。しかし、その家族や同居人にとっては、個人情報となり得ます。このように、死者の情報であっても、適切に取り扱う必要がある場合、その情報は個人情報に含まれる場合があるのです。
しかし、例外として、歴史上の事物は含まれないこととなっています。
このおかげで、私たちは歴史上の人物が生まれ育った場所を知り、その場に足を運ぶことができます。
個人情報とプライバシーの違い
普段の生活の中で、「個人に関わる情報」を指す言葉として、「個人情報」と「プライバシー」を混同して使用してしまっている人もいるかもしれません。
しかし、これら両者は、厳密には異なるものを指し表します。
個人情報は、先述の通り、生存する個人に関する情報、または、特定の個人を識別できる情報です。
一方、プライバシーは一般に自己の情報を指すだけでなく、それを自分の意思でコントロールできる権利という意味も含まれています。
また、このプライバシーを守るものとして、プライバシーマーク制度というものが存在しています。
これは、事業者が「個人情報」を取り扱う際の体勢や運用の状況を評価し、消費者に対して「プライバシーマーク」というロゴマークを用いてわかりやすく示す制度です。
要配慮個人情報の導入
平成29年5月施行の改正法により、新たに要配慮個人情報という用語が定義されました。要配慮個人情報とは、不当な偏見・差別などが生じないように取扱いに配慮を要する情報です。
具体的には、人種、信条、社会的身分、病歴、前科、犯罪被害情報等のほか、障がいがあることや、健康診断結果等も該当します。
例えば、薬局の「調剤情報」などは要配慮個人情報にあたります。
なお、要配慮個人情報の取得には、あらかじめ「本人の同意」が必要です。
個人情報を取り扱う事業者に求められること
個人情報は、特定の個人の識別につながることからもわかるように、個人との結びつきが強い情報です。趣味や嗜好性と言った情報は企業にとっては、個人の特定だけでなく、新たなサービスの開発や商品の製造のヒントとなったりします。
しかし、それらの情報が不適切に扱われることによって、その個人に不利益が生じてしまう危険性も孕んでいます。
そのため、個人情報を取り扱う企業、事業者には、以下のことが求められています。
- 個人データ(特定個人情報に係るものを除く)の漏洩、滅失、毀損
- 匿名加工情報の加工方法に関する情報などの漏洩
- これらの恐れ
上記に当てはまる場合には、以下の対応が必要です。
- 被害の拡大防止
- 原因の究明
また、努力義務として、以下が存在します。
- 個人情報保護委員会などへの速やかな報告
実際に、企業は自社において個人情報をどのように扱っているのか、という方針をHP上などで公開しています。
なお、個人情報の取り扱いに関して、個人情報保護委員会が、相談窓口となるチャットボットを設置しています。個人情報に関わる事項で疑問が生じた際に利用することをおすすめします。
行政機関の個人情報の取り扱いについて
先ほどは企業に求められる個人情報の取り扱いに関する事項を確認しました。
では、行政は個人情報をどのように扱っているのでしょうか?
行政機関が守るべき、個人情報の取り扱いに関する法律として、行政機関個人情報保護法というものが存在します。総務省など、行政機関はこちらで定められた事項に則って、個人情報を取り扱っているのです。
例として、法務省の事例を確認してみましょう。
行政機関個人情報保護法の定めによって、誰でも法務省に対し、自己の個人情報の開示請求を行うことができます。
さらに、これに対して内容が事実でないと思う時には、訂正を請求することもできます。
このように、行政機関に対しても、個人情報の取り扱いに関する規定が存在しています。
まとめ
個人情報や、それに関するキーワードの解説、そして、それらの情報を企業や行政がどのように扱っているのかについて解説しました。
- 個人情報は、個人に関する情報、または、特定の個人を識別できる情報である。
- 個人情報に対し、プライバシーは自己の情報をコントロールできる権利という意味も含まれている。
- 不当な偏見・差別などが生じないように取扱いに配慮を要する情報として、要配慮個人情報という用語が定義された。
- 個人データの漏洩等や、匿名加工情報の加工方法に関する情報などの漏洩、これらの恐れがある場合には、事業者は被害の拡大防止等に加え、努力義務として個人情報保護委員会などへの速やかな報告をする必要がある。
- 行政機関が守るべき、個人情報の取り扱いを定めた、行政機関個人情報保護法という法律が存在する。