ホーム » 法律 » 【用語解説】仮名加工情報とは

概要

仮名加工情報とは、個人情報を加工して他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないようにした情報である。

この仮名加工情報は、令和2年改正個人情報保護法によって新たに定義された概念であり、施行は2022年4月になる。

このように新たな概念が導入される背景として、データの利活用ニーズが存在する。

既存の概念で仮名加工情報に似たものとして匿名加工情報が存在する。

仮名加工情報は、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できない。一方、匿名加工情報は、個人情報を加工して特定の個人を識別できないようにした情報を表す。つまり、元の個人情報へ復元可能か否かという点で大きくこれら2つの情報は異なっている。

従来から設けられていた匿名加工情報では、個人が識別できないよう高度な匿名化やそれによる情報の欠損が発生するため、詳細な分析を簡易に行うことが難しいという難点があった。

しかし、仮名加工情報であれば、匿名加工情報に比べ簡便に加工でき、なおかつ詳細な分析が可能となる点がメリットとなる。

その他、詳細な差異に関してはこちらの記事にて解説している。

匿名加工情報と仮名加工情報の違いとは?

仮名加工情報の中には、個人情報に該当するものとそうでないものが存在する。判断の基準となるのは、仮名加工前の個人情報との容易照合性の有無だ。

容易照合性とは、個人情報保護法のガイドラインにおける「通常の業務における一般的な方法で、他の情報と容易に照合できる状態」を指す。

例えば、自社内で個人情報に対する仮名加工を行い、加工前の個人情報も保持し続ける場合、その仮名加工情報は個人情報との容易照合性を持つことになる。この場合、仮名加工情報も個人情報に該当する。

一方、グループ企業などで親会社において仮名加工した情報を子会社に提供する場合、提供を受けた子会社内では元の個人情報と照合を行うことは難しく、容易照合性はないと判断される。この時、この仮名加工情報は個人情報でないと判断される。

仮名加工情報とすることによって、個人情報として情報を取り扱う場合よりも規制が緩和される事項が複数ある。主なものとして以下が挙げられる。

  • 利用目的の変更が可能である点
  • 漏えい等の報告義務
  • 開示・利用停止等の請求対応

こうした緩和事項により、個人情報を仮名加工情報に加工し、幅広いデータ利活用が促進されることが期待されている。

その一方で、仮名加工情報の性質より、制限される事項も存在する。

  • 第三者提供が原則禁止
  • 本人識別目的での照合行為の禁止

仮名加工情報の具体例

仮名加工情報は2022年4月より施行されるため、まだ活用事例は存在していない。

ただ、その特徴から複数の分野での利活用が期待されている。

  1. AI分野での利活用例えば、収集時にAI分野での利活用を想定していなかった個人情報を取り扱う場合、これを仮名加工情報とすることで、その利活用が可能となる。 具体的には、医療機関によるAIを用いた診察情報の利活用があげられる。
  2. マーケティングへの利活用また、企業内で顧客情報をマーケティングに利活用したい場合にも仮名加工情報有益になる場合がある。 例えば、同一企業内において、それぞれの事業部で収集していた情報を仮名加工情報にすることにより、分析などの面でそれらの情報を扱うことが可能となる。

まとめ

  • 仮名加工情報とは、個人情報を加工して他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないようにした情報である
  • 利用目的の変更ができたり、漏えい時の報告義務がないなどの点において個人情報に比べて規制が緩和されている。
  • 令和2年改正個人情報保護法にて新たに導入された概念であり、2022年4月より施行される。

参考

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