はじめに
2021年6月、秘密計算を中心としたプライバシーテックに関連した情報発信およびイベント開催を行うコミュニティ「秘密計算コンソーシアム」が設立されました。
秘密計算コンソーシアムは、株式会社Acompanyが主催し、EAGLYS株式会社が協賛・共同運営します。
両社はともに秘密計算技術の研究・開発をしているスタートアップ企業です。
当記事では、秘密計算コンソーシアムについて、以下のセクションで解説します。
- 秘密計算コンソーシアムとは?
- 秘密計算研究会との違いは?
秘密計算コンソーシアムとは
秘密計算コンソーシアムは、秘密計算を中心とした、プライバシーテックに関連した情報発信およびイベント開催を行うコミュニティです。
設立の背景には、データ活用とプライバシー保護がトレードオフとなっている現状があります。
「ビッグデータ」がバズワードとなり、企業が保有するデータが大きな価値の源泉であることが広く知られてから、企業のデータ活用への取り組みは加速しています。
データ活用が進んでいる企業の一部には、更なる価値の創出や新たな知見を得るため、次のステップとして、複数組織同士でのデータ連携に取り組む動きも見られるようになりました。
しかし、そこには大きなハードルがあります。それは、プライバシー保護の問題です。
近年、プライバシーに関する人々の関心は高まっており、法的規制も進んでいます。
欧米ではEUの一般データ保護規則(GDPR)、カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)、日本では改正個人情報保護法に見られるように、消費者のプライバシーを守るために、企業のデータ活用の規制を強化することが、世界的な新潮流となっています。
複数組織間で連携することで大きな価値の創出を期待できるデータの多くは、個人情報などのプライバシー情報を含みます。
これは特に、マーケティングや医療の領域で顕著です。
そのため、他社へのデータ提供となる、従来のやり方でのデータ連携は難しい状況にあります。
こうした状況に対する解決策として期待されている技術が、秘密計算です。
秘密計算は、従来の手法では不可能であったデータ分析時の秘匿化を可能にするので、上述したデータ活用におけるトレードオフを解消することが期待されています。
秘密計算に関する詳しい説明は、以下の記事を参照していただけたら幸いです。
https://acompany.tech/blog/secure_computing/
そして、秘密計算コンソーシアムは、データ活用とプライバシー保護がトレードオフとなっている現状に対応すべく、秘密計算に関連して、法令遵守したデータ活用やプライバシー保護テクノロジーについての勉強会の開催や情報の発信を行います。
秘密計算研究会との違いは?
秘密計算研究会と秘密計算コンソーシアム。2つの似たような団体が存在するので少々わかりづらいかもしれません。
この二つの団体の違いを簡単にまとめると、秘密計算研究会は研究開発寄り、秘密計算コンソーシアムはビジネス寄りだといえます。
どちらも秘密計算技術の普及を目的としていますが、そのためのアプローチが異なります。
秘密計算研究会は、様々な秘密計算⽅式に関する実⽤的で客観的な安全性基準の策定や、関連する技術資料や先端事例の情報発信を行うなど、主に技術開発の領域で秘密計算の普及を目指すコミュニティです。
秘密計算研究会に関しては、以下の記事をご確認ください。
https://acompany.tech/blog/what-is-secure-computation-study-group/
一方で秘密計算コンソーシアムは、秘密計算を中心とした、プライバシーテックに関連する情報発信およびイベント開催を行うコミュニティです。
技術よりもユースケースに焦点を当て、法令遵守した安全安心なデータ活用を実現するヒントを提供することで、プライバシー保護データ活用ひいては秘密計算への関心を高めることを目標としています。
また、秘密計算コンソーシアムでは、秘密計算やプライバシーテックについての解説や、秘密計算関連のニュースを、月に2回メールマガジンで配信しています。
秘密計算に関連する国内プレイヤーが集結するため、プライバシー保護とデータ活用の両立にお悩みの企業様や秘密計算に興味がある方は、以下のサイトからぜひお気軽にご参加ください。
まとめ
- データ活用とプライバシー保護のトレードオフな関係を解決するため、両者を同時に可能にする「秘密計算」が注目されている。
- 秘密計算コンソーシアムは、秘密計算を中心とした、プライバシーテックに関連する情報発信およびイベント開催を行うコミュニティである。
- 秘密計算研究会は研究開発寄りのコミュニティである一方、秘密計算コンソーシアムはビジネス寄りのコミュニティである。
参考